1&木の事典ホオノキ・・・・・・・・・第1集第1巻もくじホオノキの概要ホオノキと文学・伝説飯を盛る葉材の組織と性質ホオノキの利用一般材の特殊な用途(写真)ホオノキ樹咨・壮齢木樹肌・果実(力)ホオノキ丸太・花・枝葉(顕微跼写真)材の構造コブシ・・・・・・コフシの名称コフシの概要材の組織。性質と利用(写真)コプラ樹姿・樹肌、キタコフシ樹肌(ノ厂)コプラ花・果実(顕微鏡写真)材の構造ハリギリ・ハリギリの概要・戸クダう・材の組織と性質・オニセンとヌカセン・材の利用、とくにセン合板○下駄棒・(写真)八Uギリ樹姿一樹肌・(力)y・Jギリ樹幹の刺・枝葉・(力⊃ケハリギリ・キレハハリギリゴリラ・(顕微鏡写真)材の構造トチノキ・トチノキの概要・とちの実・材の組織と性質・材の利用・(写真)ポッカトチノキ、壮・(刀)トチノキ果実・花KIEW17935ミヤ高齢木樹肌・(顕微鏡写真)材の構造トチノキ属の樹木・マロニエの並木・(写真)マロニエ樹姿・枝葉と果実・(力)アカバナアメリカトチノキ花、ベニバナトチノキ花シナノキ・シナノキの概要・マダの皮・材の組織と性質・材の利用、とくにシナ合板・(写真)シナノキ樹咨、若木・高齢木の樹肌・(刀)シナノキ花、未熟果実・(刀)シナノキ枝葉、ヘラノキ枝葉・(顕微鏡写真)材の構造オオバボダイジュ・刀カシナとアオシナ・(写真)オオバボダイジュ樹姿・樹幹一樹肌・(刀)枝葉、ノジリボダイジュ樹姿一樹肌・(顕微鏡写真)材の構造シナノキ属の樹木・ボダイジュとリンデン・(写真)ナツポダイジユ樹姿・樹肌・並木・(力)アメリカカジノキ樹咨、ボダイジュ樹姿・枝葉と果実イヌエンジュ・・・・○イヌエンジュの概要材の組織と性質材の利用(写真)イヌエンジュ樹遐・樹肌・花(顕微鏡写真)材の構造キハダ・キハワの名称・ギハダの概要・だらにすけ・材の組織、性質と利用・(写真)キハダ樹姿・樹肌・(ノノ)キハダ若木・壮齢木の樹肌、植栽・(刀)キハダ枝葉、オオパノキハダ枝葉・(顕微鏡写真)材の構造マカンバ・マカンバの名称・マカンパの概要・材の組織と性質・材の利用・合板と硬化積層材・(写真)マカンパ樹姿・樹肌・若木の林・(刀)マカンパ枝葉・樹林・(顕微鏡写真)材の構造ダケカンバ・ダヶカンパの概要・高山の風物・材の組織、性質と利用・(写真)ダヶカンパ樹姿・樹幹・樹林・(ノノ)ダケカンバ若木・壮齢木・高齢木の樹肌・(力)ダヶカンパ枝葉一丸太・(顕微鏡写真)材の構造シラカンバ・シうカンバの概要・白樺の林・材の組織、性質と利用・(写真)シラカンバ植栽林・樹肌・(力)シラカンバ花穂・花穂をつけた樹姿・(顕微鏡写真)材の構造ミズメ・・・・・・ミズメの概要ミズメの名称と万言材の組織、性質と利用(写真)ミズメ樹遐・樹肌(刀)ミスメ枝葉(顕微鏡写真)材の構造カバノキ属の樹木・・・外国のカンパ(写真)ヤエカワカンノN樹姿・樹肌一枝葉(刀)オウシウシうカンパ樹肌・枝葉と果実レッド・パーチ樹肌力刀ぐぐ・・)ス子一卜・バーチ樹咨・樹肌)スイート・バーチ樹肌、オノオレカンバ・イエローバーチ・レッドパ一手・ウラジロカンパ枝葉かなえ書房@ 2&木の事典ホオノキ・訂αg71・・o加む・aThunbergホオノキの概要ホオノキは古くはホオガシワと呼ばれ、漢字では朴、厚朴、浮爛羅勒などをあてることかおり、学名は訂a即・iaobovataT川J四皿价マダノリア・オボバータ)である。英名にはJapanesecucumbertreeがあてられる。モク冫ン科に属する落葉高木で、大きいものは高さ30m、直径1mくらいにもなるが、ふつう50cmくらいまでである。幹は真っすぐに伸びていることが多く、樹皮は滑らかで裂け目が少なく灰白色を呈するので、見るからに素性のよい樹という感じを与える。葉訌日本産の広葉樹のうちでは一番大きい方で、長さが20cm力ヽら50cmもある倒卵形の見事なものが枝先に群がりついて拡がっている。葉の縁には鋸歯(きよし)がなく、上面は深緑色であるが下面は粉白を帯びていて、風にひるがえるとその白いのが遠くからでもよく目につく。花もす二ぶる大きく、盃形をしていて直径20cmもある。5〜6月頃に新しい枝の頂上に開いて芳香かおる。赤味を帯びたがく片が3枚、その上に6〜9枚の厚ぼったい乳白色の花弁が拡がっている。これが後には黄色がかつてくる。花の中央には多数の雄しべが密接してらせん状に並び、その中心に多数の雌しべが楕円形の花軸の上に瓦状に接在している。果実はその雌しべ群が受精して熟しか集合果てあるが、全体は針葉樹の球果のような面白い形をしている。長さが10〜20cm、直径4〜8Cmはどの楕円形でやがて紅色に染まり、10月頃開裂して緋紅色の仮種皮で被われた種子が顔を出匸それが白い糸でぶら下がるようになる。南千島から北海道、本州、四国、九州にわたって広く分布し、山間の肥沃な処に散生しているのがふつうに見られる。木材としては北海道以外ではまとまって出ることは少ない。また現在は全国的に見ても蓄積も本材生産量も多くない。(平井信二)K2EW27935かなえ書房@ 3&木の事典ホオノキ・Magn・・oろoむ・aThunbergホオノキと文学、伝説ホオノキは樹が真っすぐで形よく葉も花も大きくて目立つので、古くから一般によく親しまれており詩歌に多く詠まれてきた。万葉集に次の2つの歌がある汗わがせこが捧げて持てるほばが凵よあたかも似るか青さ盖(きぬがさ)」(僧恵行)と「皇祖神(すめろぎ)の遠(とお冂卸代御代はい布(し)き折り酒(き)飲みきといふぞ此厚朴(ほほがしわ)」(大伴家持)とである。前の歌から日傘にさしていかにも清々しい様子がうかがわれ、後の歌からは大きなホオノキの葉を折り敷いて腰をおるし酒を飲みかわしたおおらかな古代の風景が浮んでくる。また夫木和歌集には「みちのくのくりこま山のはヽの木の枕はあれど君が手枕」というのがある。俳句の季題には朴の花、朴落葉などがあり、「我魂のごとく朴咲き病よし」(茅舎)、その茅舎の追憶句に「示寂すという言葉あり朴散華」(虚子)、また「岨高く雨雲ゆくや朴の花」(秋桜子)、「朴落葉枝と訣るる声耳に」(風生)などその生態を目のあたりに浮ばせる多くの句がある。ホオノキに関連した古い伝説に次のような話がある。「天竜川を遠くさかのばった遠江と信濃の境にあたるところに京丸という処かおる。険峻な山で全く隔絶された桃源境であって、下の里人では誰も行了たものがない。時々蓮華のような大きな花びらが下流の里に流れてくることがあって、これを京丸の牡丹といっている」というのである。二の京丸の牡丹はキョウマルシヤクナゲだという説もあるが、それはホオノキだというのが牧野富太郎博士の説である。(平井信二)K3EW37935かなえ書房@ 4&木の事典ホオノキ・Magn・・o加む・aThunberg飯を盛る葉人間は原始の時代からいろいろな食べ物を手近にある植物の大きな葉に盛って食べることを行ってきた。それがもとで今に残っている民俗は西欧ではとうにほとんど失われてしまったと思われるが、アジアの諸民族、またわが国でも今に至るまでその形がいろいろな処に現われている。わが国では古代にはホオノキ、トチノキ、カシワ、アカメガシワ、フキのような大きな樹や草の葉に食べ物を載せたり包んだりしたと思われるが、今もって全国的に広く行われているのはカシワ、サルトリイバラの葉に包んだ柏餅である。またそれほど一般的でなくても地方地方で山里に近い処で葉に食物を盛るいろいろな民俗が残っている。ホオノキの葉を使う代表的なものは田植えのときの民俗で、これは全国に広く分布しており、多くの例を倉田悟博士が採集されている。それによると東北地方から山陰にかけての裏日本に殊に多く、例えば炊きたての御飯を握って塩味のある豆の粉をかけてホオ葉で包むとか、若葉に粽(ちまき)にして包んで蒸すとかが行われる。津市付近での例では田植えの始めの日に、家の主人がホオノキの小枝を頭上にかざして田に行き、早乙女たちがその葉を1枚1枚ちぎり取ってそれに御馳走を盛り食べるという。また中部地方から西にかけて見られるのは端午の節句にホオノキの葉で包んだ柏餅である。このごろの観光ブームにのってよく知られるようになったのは飛騨の高山の朴葉みそ、朴葉ずし、朴葉にぎりなどで、さわやかな朴葉の香り力1移って特別の風味があるという。飛騨では家に1株のホオノキがあればそれが財産の1つのように考えられていた。また高山で朝市に乾燥して東ねた朴葉が売り出されるのも名物になっている。(平井信二)K4EW47935かなえ書房@ 5&木の事典ホオノキ・Magn・・o陥む・αThunbergM1材の組織と性質ホオノキの材は辺材と心材の区別が明瞭で、辺材は幅が比較的狭く灰白色を呈し、心材はくすんだ灰緑色で他に似たものがない独特のおちついた色調をもっている。横断面で見ると道管の孔がおおよそ均等に分布している散孔材で、全体に均質でまた緻密であり、さらに広葉樹材のうちでは木理も通直な方である。しかし重さ硬さはむしろ軽軟といった方に入り気乾比重は0.49程度なので、加工はきわめて容易である。含水率1%あたりの平均収縮率は接線方向で0.25%程度でこれも広葉樹材では小さい値であり、放射方向の1.7倍だから両者の間の差も少ないので、割れや狂いの出ることが少なくすこぶる素性のよい材であるといえる。そのほか工作上では乾燥が容易であること、割裂性が大きいこと、材の表面の研磨や塗装の仕上げがうまくできることなどの特徴があげられよう。顕微鏡で見た材の構成要素は道管、繊維仮道管、柔組織、放射組織の4つで、割合ノルマルな配置をしている。道管は直径0.02〜0.1mmで比較的小さく、道管要素(一つの道管細胞)の上下両端にあるせん孔板は甚しく傾斜し、単せん孔のもののなかに階段せん孔のものが混じるという植物系統学的にプリミティブな様相をあらわしている。繊維仮道管は基礎組織として材の60%程度を占めている繊維で、他の広葉樹材とくらべて比較的長く、また隔膜をもつものが多い。柔組織は年輪の終わりに出る1〜2細胞層のターミナル柔組織が顕著で、このため肉眼でも年輪の境をはっきり認めることができる。放射組織は単列または2細胞幅の複列で、甚だ狭い部類に入り、その構成はすべて平伏細胞からなる同性か、または辺縁に直立細胞をもつ異性である。(平井信二)K5EW57935かなえ書房@ 6&木の事典ホオノキ・Magn・・o占oむ・aThunbergiホオノキの利用一般ホオノキは樹形がよく、葉・花の大きく豪壮,なことから造園樹として公園や庭に植えられ、まれには街路樹になっていることもある。本材原木としては径があまり大きくないが、材が軽軟で欠点が少なく素性がよいことから器具材、建築材(内部装飾材匸機械材、家具材、建具材、箱材、運動具材、彫刻材などと何にでも広く用いられる。しかし産出量が多くなく他の樹種に見られない特質があるので、むしろ指物(さしもの)、寄木細工、漆器の素地、製図板、定規、下駄歯、刃物鞘といった特殊な用途がホオノキ材の本領といえよう。ホオノキの木炭は均質なので金、銀、銅、漆器などを磨くのに用いられ、とくに印刷用銅版研磨にアブラギリ炭とともに必要なものとされている。これは白炭に近い作り方で製炭されたものを使う。また昔は眉墨に使われた。樹皮を乾燥したものを生薬と匸和厚朴(わこうぼく)といっている。もともとわが国でホオノキに厚朴および浮爛羅勒をあてるのは正確でなく、厚朴の本体は中国産のMagnoliaofficin・鬲RhH[)EnetWilson(マダノリア・オフィキナーリス)である。厚朴および和厚朴はともにmagnolとmachilolという成分を含み、利尿、去痰、腹痛、胸のつかえに用い、また駆虫の効かおるともいう。ホオノキの果実を干したものが和厚朴実で、芳香かおり、これも樹皮と同じように使われるようである。(平井信二)K6EW67935かなえ書房@ 7&木の事典ホオノキ・Magn・・o加む・αThunberg材の特殊な用途板物ホオノキ材の最高の名声を保っていたのは製図板であろう。もちろんこれは素材のままで使う時代のことであって、昨今のように合板を使うごとになってきては、一般にはシナノキ合板、上等品はヒノキ・スライスばり合板にばとんどその席をゆずってしまったものと思われる。裁(たち)板はカツラが多く用いられるが、これはカツラ材に大材があるからであって、上等品はホオノキであった。俎板は上等品はヒノキ、一一一糸と品はスギの他にあまり峺くない広葉樹材なら何でも用いられるが、ホオノキはそのうちでも上等の方に属する。刃先を痛めないからだという。刃物鞘にとくにホオノキを賞用するのも、材に欠点がなく狂いが少ない上に刃物を痛めぬということによるものである。朴歯の下駄といえば明治のよき時代の書生さんを思い出寸。朴歯はおもに高下駄と駒下駄の中問の晴雨兼用・日和下駄に使われたもので、かつてはホオノキ材の最大の用途でもあった。会津若松、越後村上など漆器の産地ではホオノキは素地材の最も良いものの1つであった。このようなホオノキ材の特質を生かした古くからの用途をさぐってみると、緇かいものにいろいろと出てくるが、その多くは器具といった類のものである。現在これらはプラスチックなどに大きくとり変わられつつあって、とくにホオノキを求めるということは郷愁に似たようなものであるかもしれない。しかし日本産広葉樹材のうちでもきわめて優秀な材であるホオノキは貴重な存在であり、それなりにその特色を生かす部面がまだあるのではなかろうか。建材に関係するところでは、比較的小才法の装飾材、室内備品が考えられるが、落ちついているとはいえくすんだ材の色調がやや難点である。(平井信二)K7EW77935かなえ書房@ 8&木の事典ホオノキ・K8EW87935ホオノキ樹姿ホオノキ壮齢本の樹肌ホオノキ果実かなえ書房@ 9&木の事典ホオノキ・K9EW97935ホオノキ丸太ホオノキ花ホオノキ枝葉かなえ書房@ 10&木の事典ホオノキK01EW107935横断面(×印)材の構造放射断面(×フO)接線断面(×70)(菅野国男)かなえ書房@ 11&木の事典・コブシ・Magn・iakobusDECandollejFコブシの名称コブシの学名は朗α即・・んobusDEC八NDOLLE(マグノリア・コブス)で、ホオノキやモクレンと同属である。コブシの名はつぼみの形によるとするのが通説で、古い歌に「時しあればこぶしの花もひらけたり君がにぎれる手のかかれかし」というのがある。しかし秋成熟した果実の形がもっと挙の感じに近いので、これによるのだという人もある。古名でコブシハジカミというのはつぼみの形と味が辛いことによるとされ、またヤマアララギの名もあった。早春ヤマザクラよりも早く白い花を樹いっぱいにつけて山里の春を告げるので、各地にいろいろな方言と民俗がある。タチウザクラ(:収北)、タネマキザクラ、タウェザクラはこの花が開くと田を打つとかもみをまくとかからきており、イトザクラはアサの種をまく二とがら、また鹿児島県ではこの花が咲くと、サツマイモを植えるという。コブシの花が多いと豊作だという伝承もある。そのほかヤマモクレン、ヒキザクラ(おもに東北、北海道)の方言もかなり広く分布していて、宮沢賢治の童話「なめこと山の熊」にヒキザクラのことが出てくる。漢字には辛夷があてられ、俳句、和歌をけじめ詩、随想、小説の背景などにじよ七ば出てくるが、牧野富太郎博士は日本にしかないコブシに辛夷をあてるのは誤りで、本当のものは中国産のモクレンガ・nolialilifloraDesroux(マグノリア・リリフローラ)とされた。生薬でいう辛夷(シンイ)はもちろんこれであるが、コブシのつぼみも同様の用に供され、おもに鼻の薬とされる。コブシの英名にはThunberg'sm・nolia力哺てられる。(平井信二)K11EW117935かなえ書房@ 12&木の事典コブシ・Magn・iakobusDECANDOLLE丶コブシの概要コブシはモクレン科に属する落葉の中高本で、通常見られるのは高さ15m、直径30cmくらいまでであるが、稀にはもっと大きいものも見られる。樹幹は割合通直で、樹皮は灰白色から帯黄灰色、ほぼ平滑である。葉は倒卵形、広倒卵形などで、長さ6〜13cm、幅3〜6Cm、縁に鋸歯がなく少し波うっていて葉先は凸形になりその先端は鈍い。春3月下匍から4月に葉に先だって直径約10cmもある白いよい香りの花を樹いっぱいにつけて見事である。花弁は6個で基の方はやや紅味を帯びる。9、10月に紅色ででこぼこした長楕円形の集合果に成熟匸これが開裂すると朱紅色の種子が顔を出しやがて白い糸でぶら下がる。コブシの分布は北海道(日高)、本州、四国(愛媛)、九州、済州島の温帯から暖帯にわたっているか、東北日本では日当りのよい適潤地にふつうに見られ、西日本では少ない。樹が小さく、また量がまとまらないため、木材として生産される量はきわめて少ない。北海道の札幌付近などにふつうにあるものは、葉もかも少し大きく、花が少し紅色を帯びるので、変種キタコブシMagnoliaんobusDECandollevar.加re・isSargent(マグクリア・コブス・ボレアーリス)とされ、東北、北陸、北信にもこの形のものがある。また、ニオイコブシ封α即・・salicifi・・M八XIMOWICZ(マグノリア・サリキフォーリア)はコブシに近縁の種類で、東北、北陸に多く葉が細長い。1名タムシバというが、葉をかむとうす甘いのでカムシバからなまった名称である。(平井信二)K21EW127935かなえ書房@ 13&木の事典コブシ・Magn・iakobusDECANDOLLEf材の組織、性質と利用コブシの材は灰白色から帯黄灰色で辺材と心材の区別は見かけにくい。散孔材でホオノキの材によく似ている。横断面で見ると道管の孔が一様に分布し、その直径は0.04〜0.1mmくらい、道管要素の両端は単せん孔になっており、内壁にあまりはっきりしないらせん肥厚かおる。基礎組織は真正木繊維または繊維仮道管である。年輪の終端に出るターミナル柔組織は放射方向に3〜5細胞の層があって肉眼で年輪の境が明瞭に見かけられる。放射組織は接線方向に1〜3細胞の幅で甚だ狭い部類に入る。材質はホオノキによく似ている。気乾比重は0.郛付近で、通常ホオノキよりやや大きい二とが多く、したがって少し硬く、また刃切れは少し悪い。材はホオノキ同様に使えるが、樹の素性がそれはどよくなく、材色も綺麗でなく、少し峺いので、工芸的にはホオノキにくらべてかなり劣るといえよう。小物の器具材、玩具、漆器素地、薪炭材がおもな用途であるが、鉛筆材、割箸材に使われたこともある。皮付の丸太、小丸太はその雅致をいかして茶室の床柱、軒の垂木(たるき)などに使われる。木炭もまたホオノキのものに似ていて、金、銀、銅などの研磨用にホオノキ炭に準じて用いられる。樹は春早く沢山咲く花が美しいので花木としてよく植えられており、またまれに荳本に使われる二ともある。なお・属の花木のモクレンやハクモクレンの接本の台木とされる。トト井信二)K31EW137935かなえ書房@ 14&木の事典コブシK41EW147935コフシ樹姿コフシ樹肌午タコフシ樹肌かなえ書房@ 15&木の事典コブシK51EW157935ニオイコブシの花コフシ花ニオイコブシ枝葉コブシ果実かなえ書房@ 16&材の構造・木の事典コブシ‘士ぼ呂糺厂口川勹」91”yfF一1・渮寸汢体り−FjLF’〜’゛竰泗ニー薈!Lu日日jtIIIIli!ll!’゛。spi加I枦I駟I!IXjレー。IIII。/力川スメフ’−IIIj一卜゛4゛`{btnF鳬叫。にほほいLL。。IL×ア0放射断面(×70)国男)かなえ書房@ 17&横断面(×50)(プレパラート提供:東京大学森林植物学教室)K61EW167935木の事典ハリギリ・瓦・opanaxpictusNakai1ハリギリの概要ハリギリは本材関係ではセンと呼ばれていることが多く、漢字には剌楸が当てられているが、木材屋の問の俗字として栓が広く使われている。学わは瓦・opanaxpictusNΛKAI(カロパナツクス・ピクトウース)が用いられるのがふつうであるが、他の種名を使っている学者もある。ウコギ抖に属する落葉高木で大木にな九人きいものは高さ25mくらい、直径1mくらいまでになる。太い枝を出寸雄壮な樹で、樹皮は黒褐色、不規則に深く縦裂して独特の外観を示生。枝に鋭い剌(とげ)があるのでハリギリの名を生じ仁葉はすこぶる大きくて長さ、幅ともに20〜30cmぐらいになり、掌状に1/3から半分くらいまで`5〜9裂してお・長い葉柄をもっているので、天狗のはうちわといった様子である。とにかくすべてに男性的な樹であるといってよい。5、6月頃に全体として球形になる故形花序を枝の賠きに出して小さな花をつけるが、淡苺緑色で高い枝の先にあるので目につきにくい。秋には青黒い球形の果実になる。北は樺太、圉千島から北海道、本州、四国、九州にまで広く分布レまたウスリー地方、満州、中田、朝鮮にも見られる。肥沃な適潤地に生ずるので、北海道の開拓時代に開墾適地ご判定に使われたという。材は各地で使われるが、まとまって出るのはやはり北海立である。(平井信二つK71EW177935かなえ書房@ 18&木の事典ハリギリ・尺・OPa八axpictusNakai−アクダラタラノキの若芽は早春の山菜としてうまいものの1つにあげられているが、これに縁の近い八リギリの若芽も同じく食べる二とができる。ゆでて胡麻あえにするとか、汁の実にするとかであるが、タラノキよりもあくが強くそればどうよくないということで、アクダラ、クマダラ、イヌダラ、レンダラ、ボオダラなどいろいろな形容詞をタラにつけた方言が各地にある。方言にはその他に枝に剌かおることからバラ、オオバラ、ナナカマバラ、チマキバラなどバラというのと、材がキリに似ているというのでハリギリ、ヤマギリ、タニギリ、イヌギリなどキリというのが全国各地に見られる。チマキバラというのは伊豆下賀茂地方の方言で、5月の節句に粽(ちまき)を二の大きい葉で包むからである。横須賀では同じように餅を包むのに使うのでカシワと呼ばれる。葉の形からの方言では伊豆⊃宅島にテンダノハウチワまたはテンダッパというのがある。以上のいろいろな方言はおおよそ貪肝唐慱十が採録されたものによった。またおもに関西方面の木仕屋の間ではツブ`という名が古くから使われていた。(平井信二)K81EW187935かなえ書房@ 19&木の事典ハリギリ・尺・opanaxpictusNakai,材の組織と性質辺材は淡黄白色、心材は淡灰褐色で、その境はやや明瞭でない。ときには心材の色がやや濃いものもあるo環孔材であるため年輪が明瞭であり、太い幹の横断面を見ると、年輪の輪郭が蜘蛛の巣状にやや角ばっているものがある。顕微鏡的な材の構成要素は道管、仮道管、真正木繊維、柔組織と放射組織である。春材殼内側に径の人きい道管が並んでいるところを孔圈というが、ハリギリでは直径0.2〜0.4mmの大きい道管はふつう1列に韭んでいるだけである。日本産の主要樹種で孔圏の道管が1列なのはハリギリとケヤキで、この点で他の似たような環孔材であるヤチダモやハルニレなどと区別することができる。孔圈から外の道管は径が急に小さくなり、横断面ではよく似ていて区別がつかない道管状仮道管といっしよになっていくつか集介しており、その部分が板目面でやや暗色の縞目模様として肉H艮で見る二とができる。道管要素は両端に単せん孔をもつ。柔組織は単独の柔細胞として孔圈道管および孔圏外道管群の周辺、時に真正木繊維の組織中に散在している。放射組織は1〜6細胞幅で、単列のものは少ない。おおよそ異性といわれるもので、上下両縁に直立細胞が現われ他は平伏細胞であるが、時にはその中に方形細胞が混じるものがある。材の気乾比重は0.52程度で、その重さ硬さは広巣樹材のうちでは中位といったところであり、切削その他の加工にはちようど適当なものといえよう。材が白色材に近いので板目面では年輪が明瞭な模様になって現われて装飾的価値が高いo時にはいろいろな杢(もく)が現われるものかおる。材の耐朽性はあまり高くない。(平井信二)K91EW197935かなえ書房@ 20&木の事典ハリギリ・尺・opanaxpictusNakaiKオニセンとヌカセン木材屋の間でセンにはオセニンとヌカセンの2種類かおるといわれる二とが多い。オセニンの材は硬く狂いが多く、ヌカセンは軟らかく加工し昜くて狂いが少ない故、ふつうの用途にはヌカセン系統のものが良いとされている。一方、植物分類の方では葉の裏にほとんど毛がないものを基本種のハリギリ、葉の裹に毛があるものをケハリギリKalopa凹丿pictusNakaivar.゛昭頗戸白NAKAIカロパナックス・ピクトウース・マダニフイクス)、葉が存毛でしかも切れ込みが深いものをキレハハリギリ瓦・叩anaxpictusNAKAIvar.magniソ汾usNakaiformamaximowicziHARA(カロパナックス・ピクトウース・マダニフイクス・マキシモウイッチイ)と細分匸オニセンはケハリギリであるとしている学者も多い。しかしオニセン、ヌカセンの区別と葉の状態についての分頬と一致しているということはまだ確かではない。むしろそれぞれの樹の成長裃過により、成長のよいものは年輪幅が広くなって峺くオニセンとなり、成長の悪いものは年輪幅が狭くなって軟らかくヌカセンになり、その問に線が引けるような区別はないとしておく方が妥当と思われる。なおキレハハリギリはふつう若本に見られる二とが多いので、これは幼樹相であって、植物分俎上の区別とする匚当らないという考え方が多い。トト井信二)K02EW207935かなえ書房@ 21&木の事典ハリギリ・尺・opanaxアタ加加sNakai材の利用、とくにセン合板原木が適当に大きくて、欠点が比較的少なく、加工が容易で、木理鮮明なだめ、家具用材として古くから利用されてきた。一見シオジ、ヤチダモによく似ているが、材色がさらに明るいので装飾的価値はより高いと思われる。その他建築内装材、車両材、船舶材、器具材、機械材、下駄材、楽器材、彫刻材、くりもの材、枕木など用途が多い。しかし現在の用途としては何といっても合板用が第一で、北海道産セン合板は海外市場にそ社名が高い。アメリカ市場では以前ホワイト・アッシュ(whiteash)の名でごまかしていたこともあったが、今では堂々とセン・プライウッド(senplywood)でまかり通っている。12〜13年ほど前までは道材合板の一方の雄でありセン合板万能の時期もあったが、現在では量的にかなり少なくなっている。また原料としていわゆるオセニンは単板があばれるので合板に作りにくくて賺われたが、今ではそうもいっておれず、何でも使っているものと思われる。とにかくセッ合板は内装壁面材、ドアー、家具用として最も高級なものの1つであるといえよう。なお九州の南部から琉球にかけて生じている変種にミヤコダラ、一一名リュウキュウハリギリX・opanaxpictusNakΛlvar./・chuensisNEMOTO(力vコパナックス・ピクトウースヴレーチューェンシス)というのがあ帳基本種とは枝に剌がないか少ないこと、葉が5裂レモがないことで区別される。材は通常のセンよりもやや峺く、孔圏外道管群の犒目模様の幅が狭く、仕上げ面は光沢が多い。装飾材として特に賞用されるが、量的にはミ9わめて少ないと思われる。(平井信二)iべかなえ書房@ 22&木の事典ハリギリ・瓦・opanaxP加沁sNakai下駄棒北海道のセン利用の歴史の上で目立った1こまを占めるのが下駄棒である。センの材は比較的軽くて材色が淡く、少しばかりキリに似た木理があるので、キリ下駄代用材としてまことに適当であった。下駄棒というのは幅3寸5分、厚さレ才7分、長さ6〜9尺の無欠点の板に割ったり挽いたりしたもので、数足分の下駄がこれから採れる。上記にあら木取りしたもの、または原本を奥地から河川を利用する管流しなどで出材し、これを小樽の木材商がまとめてさかんに本州方面へ移出しか。そのため小樽には本材商の長者が続出しかわけである。二の下駄棒製材の仕様は後には多少違ったものもできたが、これらはいずれも何足分かに裁断し、鉋をかけ溝を掘って、鼻緒(はなお)を通寸孔をあければすぐ下駄に作れるように製材したものである。その送り先は大阪、神戸を中心に名古屋から関西、四国、九州方面であったが、後には岡山県尾道が中心となり、栓下駄といえば尾道というほど隆盛となった。下駄棒の生産は明治末年から始まって大正10年頃を頂点とし、安い下駄として小、中学生などの用に広く使われた。しかしゴム靴の普及によって次第にとってかわられ、またセン材自身も家具、器具用としてよ・襾格の高い用途が開けてきたため、華々しい1時期を印して、現在ではこのような利用の仕方はほとんど消滅したといってよい。(平井信二)K22EW227935かなえ書房@ 23&木の事典ハリギリ・K32EW237935八UギU樹遐八UギU樹咨八UギU樹肌かなえ書房@ 24&木の事典ハリギリK42EW247935・/・ギU樹幹・刺八UギIり枝葉かなえ書房@ 25&木の事典ハリギリK・52EW257935ケハリギU樹姿ギレハハリギU若木ミヤコダラ樹遐かなえ書房@ 26&木の事典ハリギリK62EW267935横断面(×50)材の構造放射断面(×アO)接線断面(×・)卜昔野国男)かなえ書房@ 27&木の事典トチノキ・Aesc・ぴsturbin・aBlumeトチノキの概要トチノキの漢字には栃、橡、挧、七葉樹などがあてられており、学名はAesc・皿旨回心・αBLUME(エスクルス・トデルビナータ)である。英名を使う場合にはJapanesehorse-chestnutがあてられる。トチノキ科ではわが国にこの1種しかない。大木になる落葉樹で、高さは30mにもなり直径の大きいものが天然林に残っていて、ときには2m以上のものが見られる。幹の形は若い木では比較的真っすぐであるが、大径木になると太い枝をともなってその形は悪くなる。樹皮は壮令木では暗灰褐色で縦の割れ目が人っているが、老令木になると片状にはげてヶヤキの大木に見られるような雲紋状の外観を示し、やや赤味のある褐色を呈する。葉は対生する特異な大形の掌状複葉で、小葉は7個内外、細長い倒卵形で、先端は急に尖り基部は細い楔形になっている。中央のものが最も大きく長さ30cm、幅12cmにも達する。5月頃長さ20〜30cmもあって数十花をつける大きな円錐花序を小枝の先端に直立してすこぶる目立つ。花の色はほぼ白いが、細かく見ると花弁の基の方に黄色からうすい紅色の斑点が認められる。10月頃大きな果実がなり、熟すると3裂して球形栗色の種子、俗にいう栃の実を落とす。二の樹の分布の北限は北海道の銭函イ寸近で、それより南へ本州、四国、九州とあるが、とくに東北地方によく見られ、九州では稀であるという。低山地帯の谷筋の肥沃な処に多く生えている。木材としての産出地も東北地方、北海道南部、関東北部から多少見られるが、まとまって出るところは少ない。なお栃木県の県の木に指定されている。(平井信二)K72EW277935かなえ書房@ 28&木の事典トチノキ・Aesc・us嵒祐・・aBlumeとちの実種子すなわち「とちの実」は径3〜4cmもある大形で、澱粉がいっぱいあるので、古くはクリヤクルミ、カシ、ナラ、シイの実などとともに縄文時代の主要食糧の1つであった。それ以来も山村で食糧の補いに多く使われてきた。ただ、タンニンや苦味質、有毒なサポニンなどを含んでいるので、これらを取り除くためにかなり面倒な操作が必要である。ふつう乾かして保存していたものを水につけて皮をはぎ、灰汁で煮たあと粉にひき、さらに水で洗滌、沈澱をくりかえしてとち澱粉が得られる。これを米の粉、小麦粉、そば粉とまぜてとち餅やとち団子、とち煎餅、とち麺などにしたり、飴にしたりする。山村、とくに山奥の深い処では貴重な食糧の1つであったが、この頃では特別に作って山の温泉の土産物にしているところが2、3あるくらいではな力ヽろうか。昭和10年頃に林業試験場で永井芳雄氏が多少系統的にその製造法を研究し、各種の食品菓子に応用した例を報告している。なおトチノキの葉が大きいので、ホオノキと同じように飯を盛る菓に用いる民俗かおり、とくに秩父地方ではトチノキの葉で包んだ粽(ちまき)を柴苞(しばづと)と呼んでいることを倉田悟博士が報告している。(平井信二)K82EW287935かなえ書房@ 29&木の事典トチノキ・ソ\escuius嵒祐・・aBlume材の組織と性質トチノキは辺材と心材の区別が一般に不明瞭で、材は赤味を帯びた黄白色から淡黄褐色を呈するが、多少暗色の心材相当部分を示すものがある。散孔材で比較的均質、緻密であるが、気乾比重0.52程度で、広葉樹材のうちでは軽輊な方に入り、切削その他の加工はきわめて容易である。木理はときに不規則になっている。肌目は細かく-般に材面は絹系光沢を示す。材の乾燥は容易であるが、狂いが出やすく、また条件が悪いときわめて腐れの早い材である。材の顕微鏡的な構成要素は道管、真正本繊維、柔組織、放射組織であって、特徴的なことをあげると、道管が一様に分有していること、道管の内壁に著しいらせん肥厚かおること、年輪の終わりに1〜3細胞層のターミナル柔組織かおること、軸方向に5〜15細胞連なる同性の放射組織は1細胞幅(単列)で板目面にこれらがきれいに列を揃えて並ぶことなどである。ことに最後のことは肉眼でも明らかな板目面のリップルマーク(波状紋)として認められ、トチノキ材の著しい特徴になっている。日本産の主要材でこのように明瞭なリップルマークがあるのは他にはカキノキくらいである。東北地方ではとくにトチノキの大径木を見ることが多いが、これらは木理が不規則になっていることがかなり多く、このようなものでは材面に縮み杢(もく)、波杢などが現われる。また老木では根元付近などが瘤状になっていることがあってこのものから複雑な杢の材が得られる。とくに縮み杢が出るものも多く、卜寸につきm佃の割合で縮みがあるものを卜千ジミという。なお材の腐朽が多少進行したもので、初期腐朽部分と未腐朽部分との境に黒い帯線が入っているものは1種の模様になるので、これも賞用されることがある。(平井信二)K92EW297935かなえ書房@ 30&木の事典トチノキ・Aescび加8沁ァ酊n・ablume材の利用トチノキの材は一般にはあまり良質のものとは見られていない。それは比重が小さいのにかかわらず狂いが出やすくまた腐りやすいことによるのであろう。一般的な用途としては器具材に用いられることが最も多く、その他家具材、建築材(各種造作材)、紡績用木管、漆器の素地、キャビネット、玩具、寄木細工および木象嵌(もくぞうがん)、彫刻材、雑箱材などである。かつては下駄材、経木(きようぎ)、マッチ軸木などに用いられたこともあった。私共が囗常目にふれるものでは飯しゃもじ、杓子などがあろう。それにはアオト千といわれる白色材が賞用され、心材相等部分の色の濃いいわゆるアカト千は敬遠される。特殊な用途としては杢板を建築内装の腰羽目、ドアー材などにすること、染色して和室の床柱(とこけしら匸床框(と二がまち)、落掛(おとしがけ)などの装飾材にすること、とくにクロガキの模擬材にすること、杢板をバイオリンに使うことなどがあげられる。バイオリンの裹板に使う杢板はカェデが上等で、トチノキになると安物になる。パルプ、木炭としても良い方ではない。たた七活性炭にはシラカンバ、ハンノキと共に好適であるとされている。なお樹皮にはカテコール系のタンニンが4.5〜8.5%含まれているので桂皮用に使うことができる。(平井信二)K03EW307935かなえ書房@ 31&丶y丶4X木の事典トチノキ・天然記念物・ポッカトチノキ(新潟県・姫川温泉)K13EW317935トチノキ壮齢木の樹肌トチノキ高齢木の樹肌かなえ書房@ 32&木の事典トチノキ・K23EW327935トテノキ果実卜ず熹歉ン`Iコ;!・●・●・トチノキ花かなえ書房@ 33&木の事典トチノI序K33EW337935横断面(×50)材の構造放射断面(×フO)接線断面(×アO)卜庁野国男)かなえ書房@ 34&木の事典トチノキ属の樹木・討四c・皿ssp.マロニエの並木ノ川一といえばマロニエの並木というほど有名なマロニエ(marronier)は、トチノキにきわめて近い種類であって、学名はソ\esc・びS/ぱppocastanumLinnaeus(エスクルス・ヒッポ力スターヌム)、和名はセイヨウトチノキという。英名はhorse−chestnut,buckeye,独名はRosskasta・eで、パリーばかりでなくヨーロッパ諸田で広く街路樹や庭園樹として使われている。パリーでは5月になるとトチノキによく似た白い花穂を樹冠いっぱいにつけ、ちようどろうそくを立てたように見えてなかなか壮観である。なお淡紅色から紅色の花をつける別の種類ペニバナトチノキAesc・uscarneaH八YNE(エスクルス・カルネア)も諸処に植えられている。これはセイヨウトチノキと北米産の暗紅色の花をつけるアカバナアメリカト千ノキソ1りc・心夘にz凵NN八EUS(エスクルス・パビア)との交配で作り出された園芸品であって、ふつうマロニエに接木をして育てる。東京都内の街路樹にもマロニエがあるといわれることがあるが、これは日本産のトチノキで、本当のマロニエはばとんどない。霞が関から桜田門へかけての街路樹も日本産のトチノキである。トチノキ属ノ1回(・公(エスクルス)には以上のもののはかに中国、インド、北アメリカなどに20種はどの樹木があり、いずれも材質は日本のトチノキによく似ている。(平井信二)K43EW347935かなえ書房@ 35&卜.木の事典トチノキ属の樹木マロニエ樹姿(/・、セーヌ河畔)K53EW357935マロニエ枝葉と果実かなえ書房@ 36&木の事典トチノキ属の樹木K63EW367935フフカバナフフメリカトチノギ花ベニバナトチノキ花かなえ書房@ 37&木の事典シナノキ・石/泌ゾ叩o肩口SlMONKAIJシナノキの概要シナノキの学名はTiliaj叩o肩皿SIMONKハハテイリア・ヤポニカ)で、漢字に級木、科本、槓樹があてられることがあるが、これらはあまり使われることがなく、むしろ樞を書いているのがよく見られる。しかしこれは全くの当て字で、ふつうの漢和辞典にはシナノキの意味では出てこない。シナという名は「結ぶ、くばる、くくる」という意味のアイヌ語からきているとされているが、それは、樹皮から繩、布を作ることによると思われる。英名をつける場合は、Japanese1indenが用いられる。シナノキ科に属する落葉樹で、大きいものは高さ20〜25m、直径1mくらいにもなるが、ときには2mくらいになる大木もある。幹の形はふつうあまりよくなく、太い枝をかなり低いところから分岐することが多い。樹皮は灰褐色で浅い縦長の溝に割れている。葉は互生し左右少しいびつな広卵形で先が尖り縁には鋸歯があり、長さ・幅ともに4〜8cmである。5〜7個の掌状の葉脈をもっていて下面はややうす白く長い葉柄がある。6、7月頃開花するが、花そのものは小さく淡黄緑色であまり目立だない。しかし花の出方が変わっていて花序の柄にへら形の苞がついているので、ちようど細い葉の真中から柄を出して花をつけたという感じである。小さい卵球形の果実をつける。北海道、本州、四国、九州、対馬、中国に分布し、日本の温帯林を代表する樹種の1つで、どこにでも見られるが、とくに北海道にかなりの蓄積かおり、本材としてまとまって出るのも現在は北海道である。シナノキは蜜源植物の1つであって、養蜂業者は夏になるとシナノキの花を求めて北海道へ渡っていく。(平井信二)K73EW377935かなえ書房@ 38&木の事典シナノキ・石/飽ノ叩onicaSIMONKAIマダの皮シナノキ樹皮の靭皮繊維はきわめて強いので古来全国各地でこの繊維から布や繩、畳糸などを作ることが行われ、そのために若木を育成したこともあるようである。大蔵永常の「老農茶話」に、徳苧(とくお)の木と名づけてその有肝陛と繊維の採り方に詳しい記載がある。東北地方ではシナノキをマダとかモウダとか呼んで、山村の人々には生活に密接な関係かおる樹であった。柳田国男氏の「山の人生」にマダの皮の面白い話が採録されている。陸中閉伊(へい)郡の六角牛(ろっこうし)山で、青笹村の某が山に人ってマダの樹の皮をはいでいると、7尺余りの山男が出てきて、すけてやるべと、またたく間に沢山はいでくれた。それから某が持ってきた餅を食べたが、来年はいついつの晩に3チトの餅をお前の家の庭に出しておいてくれ、1年一分のマダの皮を持っていってやるからというので、その通りにしたら約束の日の夜中に馬2駄はどのマダの皮をおいていった。その後毎年同じ日にこのことが行われたというのである。またシナノキは北海道のアイヌの織物のおもな原料の1つでもあった。西日本でもヘラと袮して同様に繊維を利用した。もっとも植物学でいうヘラノキT山aんiusianaMAKINOetShirasawa(テイリア・キウシアーナ)はシナノキによく似た同属の別の種類である。このものは関西以西、四国、九州に分布しているが、シナノキのようにふつうにあるものでなくむしろ珍しい樹に属する。これも同様に樹皮を利用する。シナノキの繊維のとり方はなるべく10年くらいまでの若木を5、6月頃に伐採して樹皮をはぎ、そのまま流水に1ヵ月たらずつけておくか、灰汁で煮沸して上質の内皮の部分を分離する。これを叩解すると麻に似た繊維が得られるわけである。(平井信二)K83EW387935かなえ書房@ 39&木の事典シナノキ・TiliajaponicaSIMONKAI材の組織と性質シナノキには辺材と心材の区別があるが、その境界はやや不明瞭で、辺材は淡黄白色、心材は淡黄褐色を示す。年輪はやや不明瞭、一般に均質で肌目も精緻である。気乾比重が0.50程度の軽軟な広葉樹散孔材の代表的なものであって、含水率変化に伴う収縮率の値も小さく、乾燥は容易、切削その他の加工がきわめて容易である。ただ接着性が一般に良好でなく、耐朽性も低い方に属する。顕微鏡的な材の構成要素は道管、仮道管、真正木繊維、柔組織と放射組織で、そのうち仮道管は道管の周囲に僅か存在することがある程度で顕著でない。道管の内壁に明らかならせん肥厚があること、放射方向には1層の柔細胞が接線方向に数個連なった接線状柔組縅が繊維組織の中に一様に分布していることなどがやや特徴的であろう。柔組織にはこのばかにターミナル柔組織と単独に散在している柔細胞とがある。なお道管は径0.06〜0.13mmで小さく、両端に単せん孔をもつ。真正本繊継は長さ1.5mm程度で広葉樹材のうちでは割合長い方である。放射組織は1細胞幅の単列のものと2〜5細胞幅の多列のものとがあってあまり顕著でなく、すべて平伏細胞力ヽらなる同性である。材の板目面をよく見ると肉眼でリップルマーク(波状紋)を認めることができる。これは基礎組織の真正木繊維の端が割合そろって並んでいることによるもので、トチノキのように放射組織の並列に由来するものでないから、トチノキのようにはっきりはしない。(平井信二)K93EW397935かなえ書房@ 40&木の事典シナノキ・THiajaponicaSIMONKAI材の利用、とくにシナ合板原木が適当な大きさのものが得られ、材に欠点が割合に少なく、軽軟、均質なので、器具材、家具材、建築材、ペニア材、楽器材、彫刻材、箱材、鉛筆材(上等でない)、マッチ軸木、下駄材など広い用途をもつ。ただし最後の3つはこのごろは少なくなって歴史的なものといってよい。またパーティクルボード、ファイバーボード、パルプ用としては広葉樹材中では使い易い材である。特殊なものに模擬材、ことに床柱用のエンジュ(正確にはイヌエンジュ)のイミテーションとしては随一の材料であり、また塗装の仕上がりが良いことからラジオ、テレビ、ステレオのキャビネットに賞用される。その他小物でとくに私達がE]常目につくものでは割箸、アイスキャンデーの棒やアイスクリームのへら、経木(さよう帽、詰物用の木毛、アイヌの熊彫などいろいろ面白いものがある。現在のシナノキ材の利用としては何よりも第一に合板をあげなければならない。道材合板が国内と海外でその名声を證っていた時に、セン合板、カバ合板とシナ合板はそれぞれ多少時期が違っていたがチャンピオンであった。現在量的に少なくなってきたとはいえ、最近ではとくにランバーコア一合板としての用途があり、シナノキとしては依然として最も重要な用途である。シナ合板で1つ問題があるのはユリア樹脂接着剤を使うと接着力が低いことである。その理由はシナノキ材が多孔質で接着剤液を吸収して接着面に残るものが少なくなること、接着を害する糖類か特殊成分が含まれていることなど、いろいろと論じられているが、いまのところまだ決定的な解明がされていない。(平井信二)K04EW407935かなえ書房@ 41&木の事典シナノキ・K14EW417935シナノキ樹姿シナノキ若本の樹肌シナノキ高齢本の樹肌かなえ書房@ 42&木の事典シナノキ・K24EW427935シナノキ花シナノキ未熟果実かなえ書房@ 43&木の事典シナノキ・K34EW437935シナノキ枝葉ヘラノキ枝葉かなえ書房@ 44&木の事典シナノキK44EW447935横断面(×50)材の構造放射断面(×アO)接線断面(×j’‘/万卜μじ昨ノ/*・ノ⊃亅濠茫甘笊V70(菅野国男)かなえ書房@ 45&木の事典オオバボダイジュ・TiliamaximowiczianaSHIRASAWA丶アカシナとアオシナ北海道でシナ材として出材されるものの中には本来のシナノキの他に、同属の別種であるォォバボダイジュ乃liamaximowiczianaSHIRASAWA(テイリア・マキシモウイッチアーナ)が混じっている。本材を扱うものはシナノキをアカシナ、オオバボダイジュをアォシナといって区別していることも多い。オオバボダイジュは北海道から本州中部まで分布するものであるが、シナノキにくらべて葉が大きく長さ10〜15・、幅8〜12cmになり、毛も多いのではっきり区別一ができる。東北の山村などではシナノキと同一としているところが多く、たまたま区別していごる方言ではォォマダ、ォォバマダなどというのがある。材の組織や性質はシナノキによく似ており、かつて松島鉄也博士が両者の材の強度の比較試験を実施した結果によるとほとんど差別をつけることができない。樹はシナノキほど大径にならないが、合板原木として手頃なものが出材され、また辺材の部分が多いので、合板用材としてはむしろこの方が好まれている。なおシナノキとオオバボダイジュの生育地がばぼ同様なので、時々両者の間の雑種が見られる。これはノジリボダイジュ石/・加・バc・aHlSAUTI(テイリア・ノジリコーラ)と呼ばれ、茎葉などのいろいろな形質は両者の中間をあらわしている。(平井信二)K54EW457935かなえ書房@ 46&木の事典オオバボダイジュK64EW467935オオバボダイジュ樹咨オオバボダイジュ樹幹オオバボダイジュ樹肌かなえ書房@ 47&木の事典オオバボダイジュ・K74EW477935オオバボダイジュ枝葉ノジリボダイジュ樹晏ノジリボダイジュ樹肌かなえ書房@ 48&木の事典オオバボダイジュ横断面(×50)(プレパラート提供ン東京大学森林植物学教室)K84EW487935材の構造放射断面(×アO)接線断面(×ア○(菅野国男)かなえ書房@ 49&木の事典シナノキ属の樹木・4ボダイジュとリンデンシナノキ属の樹木は北半球の温帯に約30種ほどあって、それぞれ各地で有用な樹本に数えられている。二の類は英名で・1indenまたは1imeと呼ば杠、アメリカではbasswoodという二とが多く、独名はLindeである。ヨーロッパ産のおもな種類はナツボダイジュ石ぶ・・卯加山sSCO匹LI(テイリア・プラテイフイロース)とフユボダイジュTiliacord・aMiller(テイリア・コルダータ)であるが、それらの間の雑種も多く、セイヨウシナノキ石liaeuropaea凵xx八Eコs(テイリア・エウロペーア)と袮して、ヨーロッパの都市で街路樹や庭園樹にさかんに用いられている。アメリカ産のおもな種類はアメリカシナノキTiliaamリicanaLINNAEUS(テイリア・アメリカーナ)で、朝鮮、中田東北部やシベリア東部には有用な数種類かおる。シューベルトの歌曲「泉に沿いて、茂る菩提樹……」は上記のリンデンであって、二れをボダイジュと訳するのはいささ力ヽ問題である。釈迦がその樹の下で悟りをひらいたという本来の菩提樹はクワ抖のインドボダイジュFicusreパgiosaLlNf、r八Js(フイクス・レリギオーサ)であって、シナノキ類とは植物学的には何のゆ力・もない。もっとも中国原産でわが国のお寺などに植栽されているものにボダイジュ石/・戒叩elianaMAXIMOWIOZ(テイリア・ミケリアーチ)というのがあ・これまで挙げたシナノキ好に何々ボダイジュと和名をつけたものが多いが、たまたま葉の形がインドボダイジュに少し似かよっているというのに過ぎないのである。(平井信二)K94EW497935かなえ書房@ 50&木の事典シナノキ属の樹木・;・.‘ヤナツボダイジュ樹姿K05EW507935ナツポワイジユ樹肌ナツポダイジユ竝本(パU郊外・フォンテンブロー)かなえ書房@ 51&木の事典シナノキ属の樹木・K15EW517935フフメリカシナノキ樹姿ポダイジコ樹藐ボダイジュ枝葉と果実かなえ書房@ 52&木の事典イヌエンジュ・MaackiaamurensisRuprechtetMAXIMOWICZvar.buergeバC.K.SCHNEIDERイヌエンジュの概要イヌエンジュは朝鮮、中国東北方面にあるカライヌェンジュMaackiaamurensisRUPRECHTetM八XIMOWICZ(マーキア・アムーレンシス)の変種とされ、したがって学名にはMaackiaamlxn?nsisRUPRECHTetMAXIMOWICZvar.buerge元C.K.SCHNEIDER(マーキア・アム−レンシス・ビュルゲ・が`あてられている。植物学の方でエンジュといっているものは中圃、朝鮮原産でわが国では庭園、とくに寺院などに植栽されている槐S叩加mj叩o・・LI八八EUS(ソフオラ・ヤポニカ)であるが、わが国の山野に自生するイヌエンジュも全国各地でひろくエンジュと俗称されている。イヌエンジュはマメ科に属する落葉樹で高さ15m、直径60cmくらいまでになるが、一般に小高木ないし中高木といった程度である。樹皮はやや褐色をおびた暗灰色で、若木では比較的平滑であるが、老木になると浅い縱の裂け目が現われる。葉は3〜7対の小葉をもつ奇数羽状複葉で、ちょっとニセアカシア(ハリエンジュともいう、俗にいうアカシア)尺・'liniapse・acacia凵心八EUS(ロビニア・シュウドアカキア)に似ているが、葉の下面に灰白色の軟かい毛を密生している。ことに新葉の萌え出る春先には銀白色で美しくよく目立つ。7、8月頃に新しい枝の先に総状の花序を1個または数個出し、小さい白色から黄白色のマメの花を沢山着ける。秋には扁平でやや湾曲匸片側に狭い翼がついた長さ5〜9cmの莢(さや)の実になる。千島、北海道、本州、四国、九州、朝鮮に分布レ低山地帯に多いが、蓄積としては少なく、木材として出るのはおもに北海道である。本州中部以南にあるものは葉と花が少し小さく、萸の翼の幅が広いのでハネミイヌェンジュガaEん・夕o元屁・aTAKEDA(マーキア・フロリブンダ)という別種であるとされていることが多いが、実際上見わけることはかなり難しい。(平井信二)K25EW527935かなえ書房@ 53&木の事典イヌエンジュ・MaackiaamurensisRuprechtetMAχIMOWICZvar.buergeパC.K.SCHNEIDER「ly丶S材の組織と性質イヌエンジュの辺材と心材の区別は明瞭で、辺材は狭く黄白色、心材は暗褐色であって、処々に淡色の部分が現われて縞目を作るものがある。顕微鏡的な材の構成要素は道管、道管状仮道管、真正本繊維、柔組織と放射組織である。環孔材であるが、やや散孔材的な様相を示す。年輪の内側の孔圏には1〜4層の大きな道管が並んでおりそれらの直径は0.05〜0.3mmの範囲にわたる。これから孔圏外に移って道管の径は徐々に小さくなっていくが、孔圏にすぐ隣接する部分では数個の道管が団塊状に集まり、また年輪の終末近くでは放射方向に4〜扣細胞層で接線方向または斜め方向に多数連なった小道管の集合帯となる。道管要素の両端に単せん孔をもち、孔圏外の小道管の内壁にはらせん肥厚がある。仮道管は孔圈道管の周辺に、また孔圏外道管群に混在して現われるもので少数で目立だない。内壁にらせん肥厚かおる。真正本繊維は材の基礎組織を形成している。柔組織には孔圈で道管の周辺にある周囲柔組織と、孔圏外道管群と真正木繊維の間に混じって散在し、ときには接線状に連なって配列しているものとがある。放射組織は1〜7細胞帽で単列O細胞幅)のものは少ない。上下両縁が直立細胞力ヽらなり、他は平伏細胞力ヽらなる異性である。材の気乾比重は0.59程度でやや重硬であり、心材の耐朽性が高い。強度も比較的大きく、靱性も高い。切削などの加工はやや困難であるが、材面を磨くとよい光沢が出る。(平井信二)K35EW537935かなえ書房@ 54&木の事典イヌエンジュ・MaacんiaamurensisRuprechtetMAχIMOWICZvar.buergeパC.K.SCHNEIDER−材の利用材は木材屋の間ではエンジュと称レ濃い暗褐色で雅致があるため、昔から床柱、床框(とこがまち)、落掛(おとしがけ)などによく用いられてきた。一般にエンジュのはかにエンジあるいはクロエンジュといっている処が多い。材面に自然の凹凸あるものはそれをいか匸まだきわたった白色の辺材部分が濃褐色の地の中にいくらか混入するものを面白く取り入れることも行われている。しかし本物のエンジュの材、すなわちイヌエンジュの床柱などは簡単に手に入らなくなってきているので、最近はシナノキ材を加工したイミテーションが多く出まわっており、さらにこれも集成加工したものが生産されるようになっている。また指物(さしもの)、すなわち和家具、鏡台、針箱などに使われるが、和風のみでなく、洋家具にもよく似合い、洋風の腰羽目のような内装材、フローリングなどにも好適である。曲木にしてよく、強度・靱性があるのでとくに手斧(ちような)の柄に賞用され、また一般の農具・工具の柄、機械・車両の部品にも使われ、かつては馬鞍、北海道の鉄道枕木にどんどん用いられたことがある。そのほか小さいものでは挽物(ひきもの)の煙草盆・盆・菓子器などがあり、また三味線・月琴の胴、太鼓の胴のような楽器、寄木細工、木象嵌(もくぞうがん八彫刻、将棋の駒、漆器の素地などとその用途は広い。薪炭材としても一般に使われた。植物学上の本当のエンジュの材もイヌエンジュとよく似ていて、材だけでは区別することがきわめてむずかしい。したがってイヌエンジュ(にせのエンジュ)と全く同様に使えるが、実際に材が出てくることはほとんど無いと思われる。(平井信二)K45EW547935かなえ書房@ 55&木の事典イヌエンジュ・K55EW557935イヌエンジュ樹姿イヌエンジュ樹肌イヌエンジュ花かなえ書房@ 56&木の事典イヌエンジュ・K65EW567935横断面(×叩)材の構造放射断面(×フ・接線断面(×耶(菅野国男)かなえ書房@ 57&木の事典キハダ・Pyl・/・endronamure?nseRuprechtvar.sack・inenseFR.SCHMIDT1キハダの名称現在、本材の方でいうキハダの学名には、一般にPhell・四加onamurenseRUPRECHTvar.sachaIinenseFr.Schmidt(フェロテ`シトロン・アムーレンセ・サカリネンセ)が使われている。すなわちウスリー、アムール地方から満州、北支那、朝鮮、千島、樺太にかけて分布するアムールキハダPhellode・7・onamurenseRUPRECHT(フェロデ`ンドロン・アムーレンセ)の葉の幅が広い変種とされ、したがってヒロハノキハダまたはカラフトキハダと特別に呼ばれることもあって、その分布は南千島、南樺太、北海道、本州、四国、九州、朝鮮とされている。しかしこの葉形の区別は明確でないので基本種と同一として変種名を使わなくてもよいのではないかと思う。なお基本種およびヒロハノキハダは葉も花序もほとんど毛がないものであるが、花序に毛かおり葉の裏に毛が多く、とくに縁に毛かおる変種はオオバノキハダト一名ミヤマキハダ、フジキハダ、ニツコウキハダ)八・昂面・ronαmr・・seRUPRECHTvar./・・Z・SPRAGUE(フェロデ`シトロン・アムーレンセ・ラバルレイ)で、あまり多く見られないが、北海道、本州、四国、九州に分布するキハダというのは以上すべてまとめた名称と考えてもよい。キハダの漢字には黄蘗、黄柏、蘗木などかおり、俗字では黄肌、黄木と書かれる。この属の樹木は樹皮にコルク層がよく発達するので英名をcorktreeといい、とくにキハダを含めてアムールキハダをさすときはAmurcorktreeが使われる。なおキハダは北海道、とくに本材業者の間ではふつうジゴロといっている。これはアイヌ名のシケレベニからきたものである。各地の方言ではキハダのほかにキワダと発音している処が多く、東北地方ではジゴロおよびそれの訛ったスコロ、ヒコロなどがある。また黄蘗の音よみのオオバクおよびそれから少し変化した呼名が各地で使われている。(平井信二)K75EW577935かなえ書房@ 58&木の事典キハダ・Pyl・lodend穴)71amurenseRuprechtvar.sack・inenseFr.Schmidtキハダの概要ミカン科に属する落葉樹で、大きいものは高さ25m、直径1mにも達する。自由に育つと太い枝を広くはり出し傘形の樹冠を作る。樹皮は灰褐色で、深く密な網目状の溝がある外観を示しいかにもコルク層が発達しているという感じである。内皮は鮮やかな黄色でキハダの名はこれから出ている。葉は対生し、3〜6対の小葉をもつ奇数羽状複葉で、長さは20〜40cmになる。頂小葉は卵形から卵状楕円形、側小葉は長楕円形で左右ややいびつである。先端は鋭尖、基部は鈍形から円形、縁にはふつう鋸歯がない。始めは少し縁毛があるが、後にはほとんどなくなる。長さ6〜12cm、幅3〜5Cm、上面は濃緑色で、下面は黄緑色、時にはやや粉白で、基の方の葉脈の上に白色の開出した毛を有する。なお油点はあるが不明瞭で、切ると1種の臭気がある。6、7月頃小枝の先に広がった円錐形の花序を出し、小さな黄緑色の花をつけるが全く目立だない。雌雄異株で、雌株では10月頃青黒い径10mmくらいの球形の石果になる。これをシコノヘイ、黄葉千(四国米の当字をすることがある)といい、駆虫薬に使うという。キハダは国内各地の水湿の多い処を好んで広く分布しているが、材として多少まとまって出るのは北海道のジゴロである。キハダ属凧・ZO面・ァ匹(フェロデ`ンドロン)は東アジアだけに数種類かおり、いずれもよく似ている。そのうちあるものはアメリカで街路樹、公園樹などに利用されている。(平井信二)K85EW587935かなえ書房@ 59&木の事典キハダ・Phellodendァ匹amurenseRuprechtvar.sack・inenseFr.Schmidtだらにすけこの樹の黄色の内皮にはベルベリン(berberine)と少量のパルマチン(palmatine)というアルカロイドを含んでいて、すこぶる苦く、古来胃腸薬として最も有名である。吉野、高野山地方の名産だらにすけ(陀羅尼助)がこれで、内皮を水で煮出したエキスをとり、煮つめて固形にしたものだが、時にはつやをつけるために煮出すときにアオキの葉を加えることもある。だらにすけの名は一番長いお経である陀羅尼経を唱えるとき睡気をおさえるため、二れを囗に含むことから出ているという。御百草、熊胆(くまのい)などの昔からの民間胃腸薬にもこれが多く人っており、また漢方薬にも配合されている。先頃、黄蘗から作る塩酸ベルベリンを主成分とした新ワカ末の広告ポスターにキハダの皮の図が画かれているのがあった。そのほか洗眼薬、打傷・挫傷などの貼り薬にも使われる。長野県の戸隠や鬼無里にミョウセンといナ方言があるが、これもその著しい薬効を妙煎とあらわしたものであろうかと牧野富太郎博士はいっている。キハダはまた飛鳥時代からの黄色染料で、延喜式にも三河ばか12か国の産地が出ている。これは中国で服色として最上位の黄色を染めるのに黄蘗を用いたのにならったものである。布を黄色に染めるほか、藍との交染で緑色に染めるのにも用いられた。北海道のアイヌの間でもキハダで黄色く染めた布は信仰上重要な意味をもっていて、キハダの樹もまた神事に用いられていた。なお紙をキハダで黄色に染めた天平のキハダガミ(黄蘗紙)は虫よけの意味をもっているo例えば石清水八幡宮や春日神社の宣命(せんみよう)用紙には必ずこの紙が用いられた。このように有用な樹であったため旧幕時代には禁伐をした処もあったが、明治以後は近畿地方ではかなり伐り尽したようである。(平井信二)K95EW597935かなえ書房@ 60&木の事典キハダ・、、Phell・endァ皿amurenst?ヽRuprechtvar.sack・inenseFr.SCHMIDT材の組織、性質と利用辺材と心材の区別は明瞭で、辺材は狭く淡い灰褐色、心材は緑色を帯びた黄褐色である。環孔材であるため年輪は明瞭で、木理はおおむね通直である。顕微鏡的な材の構成要素は道管、道管状仮道管、真正木繊維、柔組織、放射組織である。孔圈の道管は直径が0.1〜0.3mmで大きく、2〜5列ある。孔圈から外の道管は著しく小さくなり、始め道管状仮道管とともに数個集合して団塊状であるが、年輪界近くになると接線方向に連なっていろいろな形の模様を示す。小径の道管と道管状仮道管の内壁にらせん肥厚があり、時にチロースが発達する。道管要素の両端には単せん孔をもつ。柔組織には道管のまわりの周囲柔組織と年輪界に近い夏材部に出て接線方向に連なる数個細胞層の帯状柔組織かおる。材の基礎組織を形成するのは真正木繊維で、時に隔膜木繊維になっていることがある。放射組織は接線方向は1〜5細胞幅であるがやや幅の広いものが多く、平伏細胞だけからなる同性である。材の気乾比重は0.49程度亡、広葉樹材のうちではやや軽軟の方であり、切削などの加工は容易であるが肌目は粗く、したがって仕上げ面は一般にあまり良くない。乾燥の際に狂いが出ることがある。材はあまり強くないが水湿に対する抵抗性がありクリに次ぐといわれている。材は独特の色であるがくすんだ暗い色であまりきれいとはいえない。家具材、建築内装材にも一応用いられるが上級ではない。ただ色と木理がややクワに似ているので鏡台、針箱、茶箪笥などにクワの模擬材として使われる。そのほか各種器具材(盆などの旋作物、杓子など匸経木、寄木、薪材としての用途かおり、また北海道では合板の心材としても用いられる。水湿に強いので枕木としての用途があり、建築では土台、流し場の板などに使われることがある。(平井信二)K06EW607935かなえ書房@ 61&木の事典キハダ・K16EW617935キハワ樹姿キハダ樹姿午ハワ樹肌かなえ書房@ 62&木の事典キハダ・K26EW627935ギハダ若本の樹肌ギハダ壮齢本の樹肌ギハダの植栽(東京・・平薬用植物園)かなえ書房@ 63&木の事典キハダ・K36EW637935ギハワ枝葉オオバノギハダ枝葉かなえ書房@ 64&木の事典キハダK46EW647935・横断面(×眄)材の構造放射断面(×・)接線断面(×フO)(菅野国男)かなえ書房@ 65&木の事典マカンバ・召・・amaximowiczianaRegelマカンバの名称本材の方でマカンバといっているものは植物学の方ではウダイカンバといわれているもので、学名は召・・amaxima・czianaREGEL(べ千ュラ・マキシモウイッチアーナ)である。カンパ(カバ)の代表としては一般にはシラカンバ日・・aP/・丱hyllaSUKATCHEVvar.japonicaHARA(ペチュラ・プラテイフイラ・ヤポニカ)の方がなじみが深いが、本材の方面ではカバといえばまずこのマカンバをさす。したがって漢字には真曄、樺が使われ、また二れをもじった俗字、糀が用いられることがある。ウダイカンバのウダイは鵜松明(うだいまつ)の意味で、樹皮に油脂分か多くてよく燃えるので鵜飼用のたいまつに使うということからきている。また樹皮の外観からサイハダカンバという別名があるが、筆者にはこの感じはあまりぴったりとこない。なお植物の方でマカンバお・・a・昂回心鬲KOIDZUMI(ペチュラ・二コエンシス)として小泉源一博士によって記載されたものは、日光山中などにある葉が細長く側脈数が多いダケカンバの1変衽ナガバノダケカンバお・ulaermaniCHAMISS0var.ja即心・KOIDZUM!(ペチュラ・エルマニ・ヤポニカ)のことで、木材の方でいうマカンバと全く違っているのでかなりまぎらわしい。この新種記載の時に方言が聞き誤られたのではないかとも想像される。マカンバに正確な英名をあてる場合にはJapaneseredbirchを用いる。(平井信二)K56EW657935かなえ書房@ 66&木の事典マカンバ・召d・amaximowiczianaRegel畆マカンバの概要マカンバはカバノキ抖に属する落葉高木で、高さ30m、直径1mくらいまでになるが、このよ列こ大きいものはきわめて少なくなった。樹幹は広葉樹のうちではすこぶる通直な方で、枝下長く樹幹の斷面も正円に近く、見るからに形質が良い感じのものである。柆1皮は灰白色、灰褐色、帯黄褐色などを呈レだいたい平滑で横方面に紙状にはげ、はっきりした横長の皮目があってサクラにやや似ている。葉は日本産のカンパのうちでは‥番大きく、長さは8〜15・、広卵形または卵円形、先は短く尖り基部は心臓形になり、だいたい無毛であるが若本の葉にはビロードのような毛が多い。葉縁に先端が腺状突起で終わる不規則な細かい鋸歯かおる。5月頃開花し穂状の雄花序、雌花序がそれぞれ3、4個ずつ出て花をつける。9、10月頃に雌花序が成熟し、3〜7Cmの果穂になって下垂する。南千島([玉|後島)、北海道から本州北中部の温帯に分布匸肥沃な日当りのよい地に生ずる。裸地や森林が破壊された処に先駆して生えてくるいわゆる陽樹である。マカッバは北海道産広葉樹材の代表的なものの1つで、蓄積はかなりあるが、樹木としての形質が良く材質がすぐれているため、戦時中は軍用材として、また戦後は合板用材として乱伐されたので、現在では材質良好のものをまとめて得ることはむずかしくなっている。(平井信二)K66EW667935かなえ書房@ 67&木の事典マカンバ・召d・amaximowiczianaRegel材の組織と性質辺材は白色、心材は淡紅褐色でその境はおおむね明瞭である。年輪はやや不明瞭、肌引ま緻密・均質で、やや硬質の散孔材の代表的なものである。顕微鏡的な材の構成要素は道管、仮道管、真正木繊維、柔組織、放射組織で、仮道管は顕著でない。基礎組織である真正本繊維の間に直径0.05〜0.2mmの比較的小さい道管がばば一様に分布しており、道管要素は両端に傾斜した階段せん孔をもっていて、その階段は糸状で4〜16個ある。柔組織には年輪の境に出る1細胞層のターミナル柔組織と、真正木繊維中に散在する柔細胞が少数あるに過ぎない。真正木繊維は長さ1.5mm程度で広葉樹材のうちでは長い方に入る。放射組縅は1〜5細胞幅であまり目立たず、すべて平伏細胞からなる同性である。材の気乾比重は0.67程度で、やや重硬、また強靭であるが、切削その他の加工は困難でなく乾燥も比較的容易であり、材が緻密なため接着性もよく塗装仕上げも良好である。北海道の本材業者の間でメジロカンバと呼ばれているものがある。一般に辺材の割合が多いものをこういっているが、また材が軟かく樹皮が白っぽいともいう。取引の上で通常の心材が多いマカンバと値段を区別する場合がある。従来これは生立地の条件からきた樹木として成長の仕方の違いによるもので植物学的な違いではないとされてきているが、佐藤美夫博士、楮熊泰三氏などはマカンバとシラカンバの自然雑種ではないかといっている。(平井信二)K76EW677935かなえ書房@ 68&・冫木の事典マカンバ・召・・amaximowiczianaRegel材の利用樹木としての形質がよく欠点が少なく、また材は緻密・均質で強度が大であるため、各方面の用途に広く賞用される。家具材、建築「人」装材、フローリング、敷居、ドアーなどの洋風建具材、車両材、船舶材、強度を必要とする各種器具材、とくに紡績用木管材・靴木型材・ミシンテーブル、機械部材、スキー材、ピアノのハンマー・外装などの楽器材、キャビネット材などがあげられ、また合板用材のうちではマカンバは特別の位置にある。その他パルプ材、薪炭材などとしても有用である。マカンバ材、とくに北海道産のものが利用され始めたのはサクラの代用材としての感覚であったが、明治末年頃からの織機材と木管材への利用から始まり、高級楽器材、家具材などを経て、戦時中は航空機、船艦、車両などの車需用材の最も重要なものとなって、良材が伐りまくられたものである。現在家具や建築内装の方面でサクラといっているものはこのマカンバが多く、8(プルヌス)の材であることはほとんどない。なお、わが国の中部以南では同じカバノキ属のミズメ召etulagrossaSIEB皿DetZじCCARIN匸ベチュラ・ダロッサ)の材をサクラとしているのが普通である匸その他のカンパ類、すなわちダケカンバBetulaにrnaniCh.AMISSO(ベチュラ・エルマニ)やシラカンバ召・・a釧・丱的IlaSlJKATCHEVvar.プ叩皿加aH八八(べ千ュラ・プラテイフイラ・ヤポニカ)、また同じくカバノキ科であるが別属のアサダ0吋・ヘゾ叩心にIS八尺(JXエ(オストリア・ヤポニカ)までサクラとされていることが多い。(平井信二)K86EW687935かなえ書房@ 69&木の事典マカンバ・召計・amaximowiczianaRegel合板と硬化積層材現在のマカンバ材の利用のうちで最も重要なものは合板である。カバ合板の初期にはその強度が大きいことから輸出組立て茶箱としてのベニヤチェストが多かったが、その分はその後ほとんどブナになってしまった。普通の大板としてのカバ合板はセン合板、シナ合板、ナラ合板とならんで一時輸出合板の花形であり、現在もその声価は落ちていない。しかし原本が苦しくなってきたため、本当のマカンバだけでは需要をまかないきれず、この頃はダケカンバ、シラカンバのいわゆる雑カバが相当大量に使用されている状態である。カバ合板は装飾的目的によいだけでなく、材が強く接着も良好であるから構造用合板としても第1位のものである。事実戦時中に木製航空機の外板、各所の当板など強度を要する処に用いた合板はマカンバ合板を主体とし、ブナ合板をその代用材とした。もう1つ戦時中にマカンバの特殊用途であったのは硬化積層材(強化木)である。これは厚さ0.5〜1mmの薄いベニアにフェノール樹脂を滲透させ、これを多数積層して1・当り150〜200・の強圧と140七内外の熱を加えて成型したものである。素材の比重が0.7くらいなのにくらべ1.4程度になり、強度も2倍から3倍くらいのものにして、高性能のプロペラ、翼桁材など最も強度が必要な部材に作り、これをもとにして木製航空機が試作された。これにも代用材としてブナを使うことが試みられたが、その強度はマカンバの80%程度に過ぎなかった。(平井信二)K96EW697935かなえ書房@ 70&木の事典マカンバ・K07EW707935マカンバ樹咨マカレバ樹肌マカレバ若本の林かなえ書房@ 71&木の事典マカンバ・K17EW717935マカンバ樹林マカンバ枝葉かなえ書房@ 72&木の事典マカンノくK27EW727935横断面(×50)材の構造断面(×70)接線断面(×・(菅野国男)かなえ書房@ 73&木の事典ダケカンバ・召・・aermaniChamissoダケカンバの概要ダヶカンパはカバノキ科の落葉高木で、学名は召・・aeァフnaniCHAMISSO(ベチュラ・エルマニ)である。漢字は一岳樺と書き、一ちソウシカンバし簡氏樺)という。その意味は樹皮が滑らかで薄くはげこれに文字が書けるということらしい。北海道ではシラカンバを俗にガンピというのに対してダケカンバをドスガンピといっている。高さ20m、直径は最人1mくらいになるが、そんなに大きいものはあまりない。同じカンパとはいいながら、マカンバでは樹幹の断面はふつう正円に近く、真っ直ぐで曲がらないのに対し、ダケカンバの断面形は凹凸があり曲がりがあって形質が遙かに悪いのが一一般である。樹肌は若木では平滑で横長の皮目があってシラカンバやマカンバによく似ているが、シラカンバばど白くなく灰白色から灰褐色、黄味がかったもの、少し赤味がかったものなどがある。老木になるとおおよそ灰褐色で縦に裂け目が入って厚い片になってはげてくるのでオニカバの俗称もある。葉は広卵形または三角状卵形で長さ5〜10cm、幅4〜7Cm、先端は鋭尖、基部は円形から浅い心臓形である。葉縁には不規則な細かい鋸歯がある。5、6月に開花し穂状の雄花序を下垂レ雎花序は柄があって上向きにつく。9、10月に雌花序が果穂に成熟匸長さ2〜3.5cm、幅0.8〜1Cmの円筒形で直立している。(平井信二)K37EW737935かなえ書房@ 74&木の事典ダケカンバ・召・・aermaniCHAMISSO高山の風物ダケカンバの分布は大陸東北部、すなわちアムール、カムチャッカ、朝鮮から樺太、千島を経て北海道、本州北部・中部、四国にわたっているが、わが国の中国地方には見られない。亜高山帯の代表的な樹木の1つで、本州中部の山では海抜1,500mくらいから上の方に現われ、コメツガ、シラベ、アオモリトドマツなどの針葉樹林に対して陽地がかっか処ではこのダケカンバが特徴的である。時には前記針葉樹の前生樹として老木が混生していることもあり、さらに樹木限界までいって高山帯に入り、灌木状となり独特の景観をあらぬしている。葉の形や性質に変化が多く、植物学的にはいろいろな変種があげられている。そのうちアカ力ンバ召・・aermaniCHAMISSOvar.subco砲吋aKOIDzUMI(ベチュラ・エルマニ・スブコルダータ)は葉の基部が心臓形になるもので、高山帯にあるものとされているが、基本形のダケカンバとの境目はあまりはっきりしていない。そのほか、葉の長いナガバダケカンバ召・・aermaniCHAMISSOvar・ノ叩onicaKOIDZUMI(ベチュラ・エルマニ・ヤポニカ)、葉に切れ込みがあるキレハダケカンバ召・・aermaniCHAMISS0var.incisaKOIDZUMI(ペチュラ・エルマニ・インキーサ)などがある。ダケカンバ、マカンバ、シラカンバをあわせたカンパ類の蓄積は北海道、本州北中部にわたって相当多く、そのうちでもダケカンバが大きい部分を占めている。ただダケカンバは伐出に不便な高山地方にあり、樹としての形質もマカンバにくらべて遙かに劣っているので、これまであまり重要な樹とは見られなかった。(平井信二)K47EW747935かなえ書房@ 75&木の事典ダケカンバ・召計・aermaniChamisso材の組織、性質と利用材そのものの性質はほとんどマカンバと同様と考えてよい。しかし樹幹がマカンバのように素直でないので、マカンバよりも木理が複雑になり繊維の走向も乱れているものが多い。またこぶ、腐れなどの欠点もより多く出ると思われる。辺材は白色、心材は淡紅褐色から淡褐色で、年輪はやや不明瞭、肌目は緻密・均質である。顕微鏡的構造もばとんどマカンバと違わない。すなわち基礎組織は真正木繊維であるが、その間に径の小さい道管がほば一様に分布しており、柔組織としては年輪の境にある1細胞層のターミナル柔組織と、真正本繊維中に散在し個立あるいは2〜3接線方向に接続した少数の柔細胞とがある。放射組織は接線方向に1〜4細胞幅の同性のものである。材の気乾比重は0.68程度で、ふつうマカンバよりやや重硬であるがあまり甚しくは違わない。材の加工性もばとんどマカンバ同様と考えてよいが、乾燥では狂いが生じやすい。材そのものの性質がマカンバと同様であるので良い形質の樹からの材はマカンバと同じく使うことができる匸また区別がつかない。すなわち家具材、建築内装材、フローリング、車両材、各種器具・機械材、合板材、パルプ材、薪炭材などに用いられるが、ことに合板の場合マカンバがずっと少なくなっているのと、奥地の開発が進んできたことで、最近のカバ合板にはダケカンバを使うものが相当多くなっており、シラカンバも一部使われていると思われる。原本の方ではマカンバに対しこれらをザツカバと称している。(平井信二)K57EW757935かなえ書房@ 76&木の事典ダケカンバK67EW767935ダケカンバ樹姿ダケカンバ樹幹ダケカンバ樹林(富士山五合目)かなえ書房@ 77&木の事典ダケカンバ・K77EW777935ダケカンバ若本の樹肌ダケカンバ壮齢本の樹肌フヶカンパ高齢本の樹肌かなえ書房@ 78&木の事典ダケカンバ・K87EW787935ダケカンバ枝葉ダケカンバ丸太ダケカンバ丸太かなえ書房@ 79&木の事典ダケカンバ横断面(×50)(プレパラート提供:東京大学森林植物学教室)K97EW797935材の構造放射断面(×70)接線断面(×70)(菅野国男)かなえ書房@ 80&木の事典シラカンバ・召・・aP/・卯hyllaSUKATCHEVvar.y叩onicaHaraシラカンバの概要シラカンバ(白樺)はカバノキ科の落葉高木で、学名はいろいろに用いられていてその選択が難しいが、一応召・・aが・丱hylla.SUKATCHEVvar.j叩onicaHARA(ベチュラ・プラテイフイラ・ヤポニカ)をあてておく。このほ力ヽに召・・am四面huricaNAKAI(ペチュラ・マンジュリカ)が使われることも多い。北海道、東北地方ではガンピ(雁皮)といっている。英名はJapanesewhiteb卜chである・高さ25m、直径は最大90cmくらいになるが、マカンバやダケカンバにくらべるとずっと短命でせいぜい80年くらいまでの寿命であるという。樹肌は真白に近いのが非常に特徴的で横長の皮目があって薄くはげる。幼木では光沢ある赤味がかった褐色を示す。樹幹は比較的真っ直ぐである。葉は三角形に近い広卵形で、長さ5〜6cm、幅4〜6cm、先端は鋭尖頭、基部は広い楔形から切形、浅い心臓形まである。碌にはやや不規則な二重鋸歯がある。葉の下面はふつう腺点が分布していてちかちかと光る。4〜5月に新葉とともに開花、1〜2イ固の雄花序は尾状で下垂し、これより小形の雌花序も尾状で下垂する。9〜10月に円筒形で下垂する果穂に熟ずる。このカンパも葉の形や性質に変化が多く、例をあげると葉の基部が広い楔形に止まるものをェゾノシラカンバ召・・αが・丱的llaSUKATCHEVvar.kamtsch・icaHARA(ベチュラ・プラテイフイラ・カムチヤテイカ)といい、ダケカンバとの雑種で中間の形のものを別種にしてオクエゾシラカンバ召・・ao・scensisKOMARov(ベチュラ・アバチェンシス)といっている。(平井信二)K08EW807935かなえ書房@ 81&木の事典シラカンバ・召・・g・・yphyllaSUKATCHEVvar・japonicaHara白樺の林シラカンバの分布は本州北部・中部と北海道であるが、本州裹日本側には非常に少なく、また不思議なことに宮城県、山形県にはほとんど見られないということである。基本種の召・・aP/・卯hyllaS口(八TCHEV(ベチュラ・プラテイフイラ)というのは東アジアの北部に広く分布するものを包括したもので樺太、千島、朝鮮、満州、支那、カムチャッカ、ウスリー、シベリアなどにわたっている。葉の形や有毛の程度、種子の翼の形、樹皮の状態などはいろいろと変化し、また区別がはっきりしないように連続していて、いくつかの変種が報告され、マンシュウシラカンバ、1名コバノシラカンバ召・・amandshu元caNakaI(ベチュラ・マンジュリカ)とされているものなどもその1形である。マカンバ、ダケカンバとあわせたカンパ頬の蓄積は相当大きいが、そのうちではシラカンバは少なく、樹の径も大きくない。樺といえば材を扱う方面ではマカンバが本命であるが、一般にはシラカンバの方が遙かによく知られている。それというのも本州中部の明るい高原の代表的な樹であり、その樹林は詩情豊かで歌や詩に多くよまれてきた。明治から大正へかけての文学運動に「白樺派」の名が輝かしく残っている。最近は長野県の木にも選定された。ヨーロッパの代表的なカンパであるオウシュウシラカンバ召・・averrucosaEHRHART(べ千ュラ・ベルコーサ)は囗本のシラカンバにきわめて近縁のものである。(平井信二)K18EW817935かなえ書房@ 82&木の事典シラカンバ・召・・α・・yphyllaSUKATCHEVvar・j叩凹加aHara丶材の組織、性質と利用材はマカンバと同様であるが、大径木が少なく樹としての素性もマカンバのように良くはない。辺材は白色、心材は淡褐色から淡糺褐色を呈し、マカンバにくらべると心材の形成がずっと少なく、したがって白色材の部分が多い。正常な材の顕微鏡的な構造もマカンバとほとんど同様でとくに記すことがない。ただ柔細胞が塊状に集まり材中に濃色の斑点として散在しているものを髄斑といって不正常な組織であるが、これがシラカンバ材に現われることが多い。材の気乾比重は0.64程度でふつうマカンバより少し軽軟であり、腐れが入りやすく、また狂いも出やすい。良質の材はマカンバと同じように利用できるが、樹の素性が良くなく腐れが入るため、一般に上等の材とはされず、昔はほとんど薪炭材とちよっとした器具材や玩具材に使われたのにすぎない。シラカンバ材が本格的に利用されたのは大正初期に紡績用木管としてであったが、これも大きな部分はブナに移った。近年になってパルプ材としての評価が高まって量的にこの用途に用いられるようになり、また辺材部分が多い白色材の特色をいかしてパーティクルボードの化粧用表層材に最も適当とされている。良質のものは合板用に使われるほか、各種の器具材、建築内装材、家具材などにも用いられる。特殊な使い方では白い樹皮をそのままとした丸木柱がある匸また高原地方のお土産、白樺細工は誰にもなじみが深い。(平井信二)K28EW827935かなえ書房@ 83&木の事典シラカンバ・K38EW837935シうカンバ植栽林シうカンバ壮齢本の樹肌シラカンバ若本の樹肌かなえ書房@ 84&木の事典シラカンバK48EW847935シ⊃カンパ花穂シ⊃カンパ花穂をつけた樹咨かなえ書房@ 85&材の構造・木の事典シラカンバ’/1.d川丿剔目口即接線断面(×耶(菅野国男)かなえ書房@ 86&放射断面(×70)横断面(×50)K58EW857935木の事典ミズメ・召d・agrossaSIEBOLDetZUCCARINIミズメの概要ミズメはカバノキ科の落葉高木で、学名は召・・a夕卵心SIEBOLDetZUcc八RINてベチュラ・グロッサ)である。ミズメに水目と当字をするが、その意味はなたで樹皮に傷をつけると水のような透明な油がしみ出てくることによるという。高さ20m、直径70cmくらいまでになる。樹皮が特徴的で暗灰色から黒褐色であるがサクラによく似て横長の皮目力辟帽こなっている。老木ではその形がくずれて不規則な鱗片状にはがれるようになる。枝を折って鼻にもっていくと全くサロメチールそっくりの匂いがするので、一度かいだらちょっと忘れられない。葉は新梢に互生するが、それ以外では短枝上に2枚ずつ双生し、葉柄にはふつう長い毛が生えている。長卵形から卵形で長さ5〜10cm、輻3〜6cm、先端は鋭尖で基部は円形から浅い心臓形のものまである。碌にやや不規則な二重鋸歯がある。ふつう腺点を分布していて、下面では主脈とそれから出た10〜15対の側脈に長い毛が生えている。雌雄同株で、5月頃新葉とともに開花し、雄花は尾状花穂になって下垂し、雌花の穂は上向きにつく。10月成熟した果穂はほとんど柄がなく、楕円形から長楕円形、長さ2〜2.5cmである。岩手県以南の本州と四国、九州(鹿児島県高隈山まで)の山地に広く分布している。他のカンパ類がほとんど北方系であるのに対し、これは南方系のもので関西以西にも割合に多く見られる。ただしまとまって生じていることは少なく比較的散生している。なお東北地方の囗本海側にはきわめて少なく、房総半島と伊豆半島にも見られない。(平井信二)K68EW867935かなえ書房@ 87&木の事典ミズメ・召吋・agrossaSlEBOLDetZUCCARINIぜ・ミズメの名称と方言材が有用で、また分布が広いので各地でいろいろな名で呼ばれており、ミズメのばかにヨグソミネバリ、またはこれに似た呼び方が多い。以前にはヨグソミネバリはミズメとは別の種頬で学名も召・・a・mげ・iaSlEB〇ldetZUcc八RINI(ペチュラ・ウルミフォーリア)をあてていたが、現在は全く同一とされている。ヨグソミネバリの名はサロメチールの匂いに由来するが、それほどいやな匂いとも思われない。アズサという方言も関東、中部などに多い。梓の字に対応するものとしてのアズサはアカメガシワ舒・/・ぉy叩onicusMビロエE卜ARG.(マロートウス・ヤポニクース)(トウダイグサ科)とか、キササゲC・・paovataG.Don(カタルパ・オバータ)(ノウゼンカズラ科)とかの説もあったが、白井光太郎博士が方言をもとにして、古来梓弓にしたアズサはミズメであるとの考えを出してからこれが通説となっている。小泉源一博士が葉の広いものをオオバミネバリ召・・asdllenisKOIDZUMI(ベチュラ・ソレニス)という別種にし、人によってはアズサはこのものであるとするが、これも現在はミズメと同じものと考えられている。そのほか各地でミネバリという名があり、また近畿、中部ではハンサというところも多い。本材業者の間ではハザクラという名が使われた。材になってしまうと一般にサクラで通っていて、少し正直にいえばミズメザクラということになる。本当のサクラ属Prび咫箟s(プルヌス)とは植物学的に何の関係もないのであるが、咐肌と材の様子がよく似ていることからきているものである。いまでは家具などでサクラといっても本当のものはばとんどない筈である。(平井信二)K78EW877935かなえ書房@ 88&木の事典ミズメ・召・・agrossaSlEBOLDetZUCCARINI材の組織、性質と利用材はマカンバなどのカンパ類と同様であるが、マカンバにくらべると大径木にならず、樹幹の形が悪く、また量的にまとまって出る二とが少なくなっている。散孔材で辺材は黄白色、心材は經褐色である。年輪はやや不明瞭で肌目は致密である。マカンバにくらべると木理が乱れていることが多い。材の顕微鏡的構造も他のカンパ類とほとんど同様で道管、真正木繊維、柔組織、放射組縅の諸要素からなり、道管の径はマカンバより小さく0.02〜0.15mm程度である。材の気乾比重の値としてあげられたものに0.72というのがあるが、一般にはマカンバより少し重硬なものが多い程度であると思われる。材質がマカンバに近いので、用途も同様であって、古来各地で有用な材の1つであった。道具の柄、漆器素地、紡績用木管などは割合特色ある用途であったが、現在の一般的用途をあげると家具材、器具・機械材、フローリング・敷居・内装などの建築材、楽器材、パルプ材、薪炭材などである。かつで使われた器具に類する細かいものの用途では椀、盆、ガラスの木型、靴木型、三味線の棹、琵琶の胴、算盤(そろばん)の枠、櫛、洋傘の柄、機械箱、写真暗箱などがあってなかなか多彩である。(平井信二)K88EW887935かなえ書房@ 89&木の事典ミズメK98EW897935-・呻ミズメ樹咨ミズメ樹咨かなえ書房@ 90&木の事典ミズメ・K09EW907935かなえ書房@ 91&木の事典ミズメK19EW917935横断面(×50)材の構造放射断面(×70接線断面(×ア○(菅野国男)かなえ書房@ 92&木の事典カバノキ属の樹木・l外国のカンパカバノキ属召・・α(ペチュラ)は北半球の温帯から亜寒帯にかけて主要樹種の1つであり、約50種くらいあるといわれ、世界的に見て有用なものが多い。わが国では大木性で広く分布レ量的にも多いマカンバ、ダケカンバ、シラカンバ、ミズメのほかに、オノオレカンバ召・・asd・d山RH:GE:L(ペチュラ・シュミッティー)、ヤェガワカンバ(1名コオノオレ)Betula加nバcaPALLAS(ベチュラ・ダブリカ匸ウラジロカンパ(1名ネコシデ)召d・aco・/げ・・Rh:GELetM八XIMOWICZ(ペチュラ・コリリフオーリア)や低木性のものまで数種類がある。このうちオノオレカンバは材がとくに重硬、強靭で気乾比重0.90〜0.95に達する。カバノキ属の樹木は英名をbirch、独名をBirkeと呼び、その材は北欧諸国、北米、東アジアでわが国同様種々の用途に利用されている。ヨーロッパ産の主要な種類はオウシュウシラカンバ(commonbirch,silverbirch,whitebirch)Bet・averrucosaEHRHART(ベチュラ・ベルコーサ)でフィンランド、ソ連のおもな合板原木である。アメリカ、カナダには数種類あって、sweetbirch(cherrybirch)召・・a加・aLinnaeus(ペヂュラ・レンタ)、yellowbirch:召d・aZ・eaMlCHAUχ(ペチュラ・ルテア)、paperbirch:召・・a即万元八mMarshall(ペチュラ.パピリフェラ)、redbirch(blackbirch)Bet・anigraLINNAEUS(ベチュラ・ニグラ)が有用な材を提供する。東アジア大陸では朝鮮、満州、支那北部産の卜ウカンバ召・・achinensisMAXIMOWICZ(ベチュラ・キネンシス)が代表的である。(平井信二)K29EW927935かなえ書房@ 93&木の事典カバノキ属の樹木・K39EW937935ヤエガワカレバ樹晏ヤエガワカンバ樹肌ヤエカロカンパ枝葉かなえ書房@ 94&木の事典カバノキ属の樹木・オウシウシブガンダ樹肌K49EW94-7935レッド・バーテ(戸メリカフロハダカンバ)樹肌オウシウシ⊃カンパ枝葉と果穗かなえ書房@ 95&木の事典カバノキ属の樹木K59EW957935スィート・バーテ(尸メリカミズメ)樹姿かなえ書房@ 96&木の事典カバノキ属の樹木・スイート・バーチ壮齢木の樹肌イエロK69EW967935レッド・バーテ枝葉オノオレカンバ枝葉チ(キハダカンバ)枝葉ウラジロカンパ枝葉かなえ書房@ 97&木の事典オニグルミ・JuglanssieboldianaMaximowiczクルミの名称オニグルミはクルミ科に属匸学名は一般にJuglanssieboldianaMAX川owlcz(ユダラッス・シーボルデイアーナ)を使うが、北村四郎博士は近縁のマンシウダルミJuglansmandshu.元白M八XIMOWICz(ユグランス・マンジュリカ)の亜種(種のうちの区分で地域的に分布が違うものが多い)であるとしてJuglansmandshuricaMAχIMOWICZsubsp.sieb・dianaKITAMURA(ユグランス・マンジュリカ・シーボルデイアーナ)を用いている。ふつうクルミといえばこのオニダルミのことで、漢字には胡桃が使われる。英名にはJapanesewalnutを用いる。クルミの語原は黒実、あるいは中国から渡来した果実という意味の呉実という説もあるが、くるくるまわる丸い実の意味だという説の方がふさわしいように思う。オニグルミのオニは核に皺かおる様子からきている。国内各地の方言ではクルミというのが圧倒的に多いが、クルビもよくいかれている。そのほか似た発音のダルミ、クロビ、グルメなどがあり、ヒメグルミやサワグルミに対応してかオトコダルミ、ホンダルミという呼名もある。クルミを来る身にもじって「夏山の裾野にしげるくるみはらくるみいとぶな行ひてあふらん」という新撰六帖家良の歌などもある。俳句では胡桃は秋の季題で「夜嵐や破風(はふ)を打ぬく鬼胡桃」(探梅)などかおるが、また枝に着いたままの緑色の青胡桃は夏の季題で「山の雲通へばさわぐ青胡桃」(青邨)などはよくその情景を写している。(平井信二)K89EW987939かなえ書房@